日本語には「骨」が使われている言葉が多い

『骨』という言葉は意外に日常会話で使われていて、『骨が折れる』(非常に苦労する・困難であるという意味)や、『骨抜きにされる』(重要な部分がなくなること)や、『骨のある人』(中身のある人物)など、骨が重要なものとして認識された言葉が多いように思います。

皆さんも何気なく使われている言葉だと思います。また、『骨を休める』(一休みする)のように、昔の人は骨が生きていて、体調の面で重要な役割を担っていることを解っていたのではないでしょうか。

骨=白い塊のイメージですが・・・

今回はその骨の話ですが、骨のイメージと同じような少し硬いお話をいたします。

私は10年以上も骨の研究に携わっておりますが、骨の本当の姿は未だに世間的には理解されていないような気がします。それは仕方のないことで、スーパーで見かける動物の骨のように、日常私たちは活動が停止した死んだ骨だけを長年見続けてきました。

骨=死のイメージもあります。動物が死んだとき最後に残るのは骨だけですので、そういうイメージが固まったのでしょう。骨は白くて硬い。それもまた、死んだ骨の一つの事実です。ですから、実際に生きている骨について聞かれても、なかなか説明しづらいのではないでしょうか。

生きている骨の機能に関する情報が少なく、血液検査に比べて、骨密度検査をしている人は圧倒的に少ないのが現状です。

骨は体の中であまり主張せず静かにしているので、その異常に関して気づきにくいのですが、実は重要な役割を持った臓器のひとつなのです。

実は、骨は活発に活動していますよ。

今回は、生きている骨の機能について少し考えていきたいと思います。骨については、「カルシウムの塊である」「役割は体や臓器を支えることで、活動はしていない」と、考えてある方が実に多いのです。

しかし、骨は常に作り替えられており、骨自身は3~5年で全て入れ替わっているのです。破骨細胞が骨を壊し、骨芽細胞が骨を作り、毎日活発に活動しています。

また、骨量の増減には骨細胞が深く関わっています。骨密度の低い人は、骨の形成を抑制する『スクレロスチン』という物質が骨細胞から分泌される量が多い、ということが解っています。

骨密度を上げるには、衝撃センサーである骨細胞に刺激を与えることが効果的であるといわれています。手軽にできる運動では、ウオーキングやジャンプ運動や、最近認知されてきた『かかと落とし』運動などがあります。

骨は、記憶力・筋力・生殖力にかかわる代謝物質を増骨の際に生み出している。

骨は破骨と増骨を繰り返していますが、増骨の際に代謝物質が生み出されています。 その代謝物質は、骨から分泌され血管を通じて全身に届けられ、記憶力・筋力・生殖力まで若く保つ力があることが解ってきています。

加齢によって増骨能力が落ちてきますと、体内の代謝促進機能も減少します。

寝たきりになると、骨密度の低下に比例して代謝物質の発生量も減少するので、体調維持機能が急速に失われます。当然ながら免疫力も低下するので、老化が進み、病気の併発及び認知機能の低下のほか、多くの問題が生じると考えられています。

見た目には『動かぬ骨』ですが、ミクロの世界では破骨・増骨という新陳代謝を繰り返し、その過程で代謝促進機能を持つ物質を産出して、全身に届けるという仕事をしていたのです。本当に骨はありがたい存在です。

皆さん、骨を愛して骨を鍛えましょう。